営業案内

本日カフェは通常どおりご利用いただけます。
11:00~20:00までの営業となります。

※年末年始の営業時間と店休日のお知らせ:
12/29(土)は17:00までの営業、
12/30(日)〜1/2(水)は店休日となります。

ACCESS MAP
CLOSE

アート・工芸・伝統文化の融合を楽しむ「火」と「土」のウィンドウディスプレイ

「アーバンビューティーテンプル」の顔として、お客様を迎えるSHISEIDO THE STOREのウィンドウディスプレイ。2018年の立夏から立秋にかけてのテーマは「火」と「土」の章でした。アートディレクションを担当してきたミヤケマイさんと、作家が込めたストーリーを振り返ります。

2018.12.17 MON
アート・工芸・伝統文化の融合を楽しむ「火」と「土」のウィンドウディスプレイ アート・工芸・伝統文化の融合を楽しむ「火」と「土」のウィンドウディスプレイ

「火」の章は端午の節句と街の風景とシンクロさせて

立夏を迎えるゴールデンウィーク前から「火」の章のディスプレイはスタートしました。端午の節供だけでなく、日枝神社山王祭のもっとも華やかな行事「神幸祭」で、銀座の中央通りを雅な王朝装束を身にまとった人々が練り歩くとあって、5月半ばになると各店は軒に提灯を下げ、お祭りを迎える準備をします。江戸時代から続く神幸祭と銀座の所縁を感じさせる提灯を、ミヤケさんはメインオブジェクトに用いて、ディスプレイと銀座の街の風景をつなぐことにしました。「丸型、長型、小田原型など、複数の産地から提灯を取り寄せました。火袋の和紙だけでなく、上下の化粧輪と受け底などのパーツもすべて白く着色し、無地でニュートラルな存在に。背後から光を当てて提灯の中のに火にちなんだモチーフが和紙に投影されるように仕立てました。筒型の小田原提灯はまわり燈籠のように回転させました」。
端午の節供にちなみ、鯉が滝登りして火を吹く龍になる故事にちなんだモチーフや、鳳凰、馬、マッチを持った童子などユーモラスなものも。また、提灯の受け底に鯉のぼりの吹き流しを思わせる5色に染めた紐を下げて飾りました。スポーツの祭典であるオリンピックの五輪の5色にちなみながらも、大人っぽいニュアンスの色に自ら染めたそう。幻想的な中にも、ミヤケさんらしいユーモアとセンスが織り込まれたコンテンポラリーな展示になりました。

  • 中心に設置した小田原提灯の影絵を、まわり燈籠のように提灯内部で回転させた。写真/繁田諭(以下同)
  • さまざまな産地の提灯に、火にまつわるモチーフの影絵を投影した。

日本美術のフォーマットを踏襲した花椿通りのお軸

花椿通りのふたつのウィンドウには、縦方向に配置した三幅対の掛け軸を展示しました。「地上」と「地下」の火のテーマで二双とし、お軸に描かれた火炎の中心を火で炙って穴を開け、火矢で貫いたかのように見せました。ミヤケさんは「火は暖炉の火のように心を落ち着ける働きがある一方、常に揺らいでいて動きがあるもの。安定しない状態とすべてを焼き払う火の強さを表しました。地下の火は3本の矢で業火、つまり地獄の火を表すので、書にも心の平穏がない状態を示す言葉を。対して地上の火は人の心に芽生える野心の火を表す言葉を選びました」とストーリーを説明しました。本紙上下の一文字には銀を焼いた「銀荒らし」を、木製の軸棒の軸先も焼くなど、お軸にも「火」を感じるディテールを散りばめています。
ちなみに三幅のお軸はそれぞれ濃紺、鼠色、松葉色など、男性の着物の伝統色を用いています。美を象徴する資生堂のディスプレイに武将的なイメージを取り入れたのは、男の子の節句であるのと同時に、現代女性の中にある男性性も表したかったから。ミヤケさんは常に時代性と季節感とを作品に反映しているのです。

  • 地上の火を表すお軸には、大成しようとする人間の野心的な言葉を連ねた。
  • 地下の火として地獄の業火を表した三幅対のお軸、和紙を焦がして矢が貫いた様子を表現。
次の「土」の章へとつながるよう、焼き物の文字で漢詩を表した。

子どもの遊び心を表現した「土」のディスプレイ

6月半ばから立秋の頃までウィンドウディスプレイを飾った「土」の章は、陶芸家・植松永次さんが作品の制作と展示構成を担当しました。展示期間がちょうど夏休みと重なることから、ミヤケさんはテーマについて「子どもの遊び心を感じさせる作品を」と植松さんに依頼したそうです。
土を焼いた立体作品を長年手がけてきた植松さん。人間が誰しも持っている水、空気、火や土といった自然そのものの美しさや力強さを感じる心。そんな感性に訴える作品を心がけています。“遊び心”というお題に、幼い頃に土だんごをつくったり、穴を掘ったりした思い出を重ねました。中央通りのふたつのウィンドウには白い壁を立てて、丸・三角・四角に整えた土に、淡いブルー、ピンク、白の色化粧を施して焼成した作品を配置しました。できるだけ単純な形と色にしたかった、という植松さん。ユーモアを感じる展示構成からは、「空と遊ぶ」「空に舞う」というタイトル通り、青空に羽ばたくような自由な心を感じます。さらに子どもと植松さんの3人で手に泥をつけて、手形を押した透明のフィルムを作品の手前に配し、「ピカピカの新車に泥を塗りたくなるような」子どもの衝動を表現しました。

やわらかいトーンの色化粧を施した作品がやさしい時間を紡ぐ、中央通りのディスプレイ。
  • 「空と遊ぶ」。単純なフォルムをユーモラスに配置しただけでストーリーが生まれる。
  • 「空に舞う」。思い切り手形をつけている時の笑顔も空間に満ちるよう。

作為を込めずにつくった原土の作品

花椿通りの作品は「泥の花」と「収穫」というタイトルがつけられました。「泥の花」は何とか手に持てるくらいのやわらかさの原土の塊を、平らな面に投げつけてそのまま焼成。花が咲くように広がった形の焼き物を、白い壁面にレイアウトしました。「泥と私の最小行為」と植松さんが表現するように、陶土ではなく泥そのものをなるべく手を加えずにつくっています。「収穫」も同じように大小さまざまな原土の塊をそのまま焼成し、稲藁で結んで白い壁に吊るしただけ。ともに何種類かの土を使うことで色に変化が生まれています。作為をなるべく込めず、火によって形を得た土の存在感が際立っていました。
「表現以前に土があった」という作品に込めた植松さんのメッセージは、街を行く子どもだけでなく大人の心にも、「木・火・土・金・水」という五行の自然そのものを感じることの大切さを、改めて届けてくれたに違いありません。

  • 花椿通りは原土をそのまま生かした作品を展示。
  • 「収穫」。土の塊をそのまま焼成し、稲藁で吊るした。
  • 「泥の花」。ごくやわらかな原土を平面に打ち付けた形を花に見立てた。
  • さまざまな色の原土を使用。プリミティブな土の力を感じる。

ミヤケマイ MAI, Miyake
アーティスト。日本の伝統的な美術や工芸の繊細さや奥深さに独自のエスプリを加え、過去と現在、未来までをシームレスにつなげながら物事の本質を問う作品を制作。

骨董、工芸、現代アート、デザインなど既存のジャンルを超えて活動している。大分県立美術館(OPAM)、水戸芸術館、Shanghai Duolun Museum of Modern-Art、POLA美術館などでの展示及び、現在 東アジア文化都市2018金沢 『変容する家』2018年 9月15日 - 11月4日金沢21世紀美術館と釜山市立美術館のグループ展『ボタニカ』2018年 8月24日 - 2019年 2月17 日にて展示中。

2008年パリ国立美術大学大学院に留学。作品集に『膜迷路』(羽鳥書店/2012年)、『蝙蝠』(2017年)など。京都造形芸術大学客員教授。
http://www.maimiyake.com
植松永次 EIJI, Uematsu
1949年神戸市生まれ。72年平面作品を制作する過程で、土の質を確かめるためにレリーフを創ったことをきっかけに、東京・町田で焼き物の仕事を始める。83年三重県伊賀市丸柱に移住。以来土と火を中心に、自然そのものの力を表す作品制作を続けている。92年「現代陶芸国際激請展」(台湾・台北国立歴史博物館)、2007年「植松永次 陶芸展―土の形―」(伊丹工芸センター)、09年「土・火―根元へ」(小海町高原美術館)、10年BIWAKO BIENNALE2010(滋賀県近江八幡市)、OBJECT LESSON4+Japonesque Gallery(ニューヨーク)、ART AND ANTIQUE DEALERS SHOW(同)、12年Shigaraki ACT2012(滋賀県甲賀市信楽町)、16年信楽まちなか芸術祭(同)、ほか国内外のギャラリーや美術館で個展、グループ展など多数開催。

HOME

STORY

アート・工芸・伝統文化の融合を楽しむ「火」と「土」のウィンドウディスプレイ

〒104–0061 東京都中央区銀座7–8–10 SHISEIDO THE STORE 4F
TEL 03–3571–1420
営業時間 11:00–20:00(L.O. 19:30)不定休