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2018年から2019年へと向かう時間を水の流れに重ねて

2018年のウィンドウディスプレイもいよいよ最後の作品になりました。 冬を表す「水」の章の作品に込めたストーリーを、現代美術家・ミヤケマイさんにお聞きしました。

2018.11.02 FRI
2018年から2019年へと向かう時間を水の流れに重ねて 2018年から2019年へと向かう時間を水の流れに重ねて

ミヤケさんと建築家、工芸家の3者による「水」の作品

カレンダーも残すところあとふた月となると、急に時間の流れが加速するように感じます。これからやってくるさまざまなイベントを期待させる装いが、街のあちこちで輝き始めるのもいま。寒さとともに心が浮き立つ私たちの気持ちに寄り添うような作品が、SHISEIDO THE STOREのウィンドウに登場しています。1年を締めくくるテーマは五行の要素のひとつである「水」。ミヤケマイさんは水の姿のひとつである「雪」をデザインモチーフにし、時間の流れを水の流れに重ねてストーリーを紡ぎました。今回の参加アーティストはトラフ建築設計事務所と、徳島で藍の栽培から染色や作品制作まで一貫して行うユニット・BUAISOUの2組です。ともにミヤケさんとはプロジェクトを手がけてきた旧知の仲でもあり、現代美術家、建築家、工芸家のそれぞれの持ち味がバランスよく交差した作品になりました。

  • 左側のウィンドウはシルバーのフレーム。3Dで接合されているので、ウィンドウに奥行きを与える。撮影:繁田 諭(以下同)
  • 右側のウィンドウはフレームにゴールドを。藍染で染め残した白い生地が夜になるとよりはっきりと浮かび上がる。

藍染がつくる暖かな雪の風景

中央通りに面したウィンドウには、屋根にふんわりと雪の積もった家を中心に、グラフィカルなシーンがつくられました。ゴールドとシルバーの細い角パイプでつくったフォルムはトラフによるデザイン。立体感をつけたフレームを浮遊させた「家」からは、シャープさと軽快さを感じます。屋根には藍でろうけつ染を施したコットンサテンが張られました。濃い藍色から白い部分の繊細なグラデーションが降り積もった雪のやわらかさを感じさせます。染色を担当したBUAISOUによると、伝統的なろうけつ染を応用し、ロウを塗る工程を細かく重ねていく独自の技法によって雪を表現したそう。ミヤケさんはトラフによる都市のスピード感あふれるデザインと、BUAISOUによる手仕事の温もりを組み合わせて、ひとつの世界をつくりたかった、と言います。「この季節のメインイベントであるクリスマスを雪で表現する時に、ステレオタイプのイメージとは異なる新しい世界が浮かび上がるようディレクションしました。大人のエッジを意識した、いまの銀座のクリスマスを資生堂のウィンドウで発信したかったのです」。

  • 降り積もった雪を表現するための、BUAISOU独自のろうけつ染の技法を用いた繊細なグラデーション。
  • 床に積もらせた雪の上には、11月から来年の1月にかけての日めくりが。

子ども時代の思い出をエッセンスに

もうひとつ、ミヤケさんが意識したのはこの季節に人々が感じるワクワクするような気持ちです。水を表す藍色と雪を表す白はどちらかといえば落ち着いた印象。それを引き立てるよう、クリスマスキャンディーの包み紙のように現代的ながらカラフルなストライプで背景を彩りました。「子ども時代を過ごした横浜では、クリスマスシーズンになると欧米の文化がダイレクトにあふれていたんです。例えばお友だちの家や歯医者さんの待合室などには、キャンディーがたくさん入ったボウルが置かれていて、子どもたちはそれらを手づかみして好きなだけ食べてました。クリスマスといえば、ミント、赤、ピンク、そして白い生地を捻ったりストライプにしたキャンディーが思い浮かぶんです。その色彩を抽出して、クリスマスのキラキラ感をメタリックカラーで表現した壁をつくりました」。中央通りのウィンドウに潜んでいるエレメントはストライプ柄だけではありません。ガラスの時計や日めくりの暦は2019年に向かう時の流れを、吊り下げられた靴下や屋根の上の赤いエナメルシューズは女の子のサンタクロースを。ちょっとフェミニンなメタファーが、きりっとしたオブジェに女性ならではの細やかな物語を加えています。

  • 丸をつなぐことで、アブストラクトに雪だるまを表現した花椿通りのウィンドウ。
  • 雪の結晶の揺れるウィンドウ。バスケットのラッピングがクラフト感のあるクリスマスを演出。

新しい年の新しい章へつながる、徳島スギのオブジェ

花椿通りのウィンドウには、藍色のグラデーションが美しい、雪の結晶と雪だるまをモチーフとしたリズミカルなオブジェが揺れます。モチーフを構成する円盤状のプレートはBUAISOUが本拠地を置く徳島県産のスギ板を丸く切り抜いたもの。それらを甕に浸す回数や時間を計算しながら、微妙な藍色の濃淡の変化が出るように染めました。中央通りのファブリックのスッキリとした発色とは異なり、スギの色や木目と、藍が出合った温かみと深みにぜひご注目を。ポップなデザインと工芸的なテクスチャーという、トラフとBUAISOUの対照的なアプローチがウィンドウの中で融合しています。実はここでも「水」の章から春を表す「木」の章へとバトンを渡すようにマテリアルを意識した、というミヤケさん。2019年へと流れていく時を表現した4つのウィンドウは、銀座を歩くおひとりおひとりが新しい年のストーリーを思うきっかけとなるに違いありません。

藍甕に浸す時間や回数で、濃淡を表現。木目の味わいが残っているのがわかる。

藍染のグラデーションを確かめにTHE TABLESへ

中央通りのろうけつ染、そして花椿通りの木の染色を確かめたくなったら、ぜひ4階の「SHISEIDO THE TABLES」へ。ギャラリーコーナーではBUAISOUによるろうけつ染のアートパネルと、藍で染色した広葉樹のけん玉のディスプレイをお求めいただけます。植物の藍を育て、蒅(すくも)をつくり、地獄だてという伝統的な方法で藍の液をつくっているBUAISOUが、藍染でさまざまな作品をつくりながら、独自の表現方法を創造し、新しい工芸の世界を広げていることを感じるでしょう。パネルのモチーフは抽象的ですが、どこか暖かな胎動を感じる作品です。けん玉はちょっとボーイッシュなプレゼントとして喜ばれそう。ぜひ間近でご覧になってみてください。

BUAISOUによるアートパネルとけん玉。パネルのベースは木製。けん玉はケヤキとサクラ材を使用。ともに表面を保護する塗膜を施していないので、時間とともに風合いが増す。
撮影:浦川 良将

ミヤケマイ MAI, Miyake
アーティスト。日本の伝統的な美術や工芸の繊細さや奥深さに独自のエスプリを加え、過去と現在、未来までをシームレスにつなげながら物事の本質を問う作品を制作。骨董、工芸、現代アート、デザインなど既存のジャンルを超えて活動している。大分県立美術館(OPAM)、水戸芸術館、Shanghai Duolun Museum of Modern-Art、POLA美術館などでの展示及び、現在 東アジア文化都市2018金沢 『変容する家』2018年 9月15日 - 11月4日金沢21世紀美術館と釜山市立美術館のグループ展『ボタニカ』2018年 8月24日 - 2019年 2月17 日にて展示中。2008年パリ国立美術大学大学院に留学。作品集に『膜迷路』(羽鳥書店/2012年)、『蝙蝠』(2017年)など。京都造形芸術大学客員教授。
http://www.maimiyake.com
トラフ建築設計事務所
鈴野浩一(すずのこういち)と禿真哉(かむろしんや)により2004年に設立。建築の設計をはじめ、インテリア、展覧会の会場構成、プロダクトデザイン、空間インスタレーションやムーヴィー制作への参加など多岐にわたり、建築的な思考をベースに取り組んでいる。主な作品に「テンプレート イン クラスカ」「NIKE 1LOVE」「港北の住宅」「空気の器」「ガリバーテーブル」「Big T」など。2016年『トラフ建築設計事務所 インサイド・アウト』(TOTO出版)を刊行。
BUAISOU
楮覚郎(かじかくお)とそのパートナーで2012年よりBUAISOUとして活動。2015年には徳島とニューヨーク(現在はクローズ)に会社を設立。阿波藍の産地として知られる徳島県上板町を拠点に藍の栽培から染料となる蒅造り、染色、作品製作まで一貫して行う。蒅に木灰汁、ふすま、石灰のみを混ぜて発酵させる伝統技法「地獄だて」で仕込む。ワークショップや展示など国内外で幅広く活動を行なっている。

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STORY

2018年から2019年へと向かう時間を水の流れに重ねて

〒104–0061 東京都中央区銀座7–8–10 SHISEIDO THE STORE 4F
TEL 03–3571–1420
営業時間 11:00–20:00(L.O. 19:30)不定休