営業案内

本日カフェは通常どおりご利用いただけます。
11:00~20:00までの営業となります。

※年末年始の営業時間と店休日のお知らせ:
12/29(土)は17:00までの営業、
12/30(日)〜1/2(水)は店休日となります。

ACCESS MAP
CLOSE

女性の美しさをリードしてきた銀座への思いを「木」のテーマに込めて

「SHISEIDO THE STORE」ウィンドウディスプレーの最初の季節を飾った「木」の章と、それに続く「花」の章の作品について、現代美術家・ミヤケマイさんに振り返っていただきました。

2018.10.02 TUE
女性の美しさをリードしてきた銀座への思いを「木」のテーマに込めて 女性の美しさをリードしてきた銀座への思いを「木」のテーマに込めて

「木」の章は、ミヤケさん自身による作品

今年1月からスタートした、現代美術家・ミヤケマイさんがアートディレクションを担当するウィンドウディスプレー。テーマは中国の古代哲学に基づく、自然の要素である木・火・土・金・水の「五行」です。ミヤケさんによると、第1回の作品のテーマに春を表す「木」を先取りしたのは、資生堂のシンボルマークが“椿”であること。また社名の由来である易経の一節“万物資生”という言葉が大地のめぐみへの畏敬を表し、化粧品に縁のある生薬にちなんでスタートは“木”がふさわしい、と考えたからだそうです。ミヤケさん自身が制作を手がけた木の章に続き、第2回は日本の春に欠かせない桜を五行のテーマにプラスしました。

  • ミヤケマイさんによる「BOTANICA」。縁起由来、薬効などをリサーチし、初春にふさわしい木々をセレクトした。写真/繁田諭(以下同)
  • ボタニカルアートのような1枚のパネルも、集合体になるとエンサイクロペディアとしての意味が浮かび上がる。

巨大なボタニカルアートで構成する空中庭園

子どもの頃から押し花をつくるのが好きだったミヤケさんは、中央通りに面するウィンドウの作品として、押し花ならぬ“押し木”に挑戦しました。苦心しながら本物の木の幹や茎をスライスし、葉とともにアクリル板の上に美しくコラージュしてからもう1枚のアクリル板で挟み、パネルを浮遊させました。選ばれたのは椿はじめ、シダ、南天、ヤツデなど、縁起がよかったり、薬効のある常緑樹が中心。日本の女性の美しさを常に牽引してきた資生堂にふさわしい樹種を意識したそうです。中でもひときわ力強い存在が根引きの松でした。「門松をはじめ、神さまの依り代として象徴的な木が松です。初春にちなんで、めでたさと同時に、銀座の文化がこの地で脈々と栄えますように、という願いを込めました」と語ったミヤケさん。季節を少々先取りして「木」の章でスタートした背景には、古来から続く日本的な発想がありました。
学名と木の解説を書き添えた版画がつけられたパネルは、ダイナミックなボタニカルアートのよう。一方、離れてウィンドウを観ると複数のパネルで構成された空中庭園が浮かび上がります。マイクロスコープとテレスコープのように遠近両方で対象を見る「ドウェルフォーカス」の視点を特長とするミヤケさんの制作のアプローチがここでも生かされています。ちなみに夜になると南天の実やヤツデの花に見立てた素材が光って浮かび上がり、マジカルな表情を見せます。道行く人にリアルな植物とアーティフィシャルな美の二面性を印象づけました。

  • 造園家の伝統的な技術を生かした、菰巻きを施した山桜とソメイヨシノの丸太。
  • 杉と、外来種のプラタナスの丸太を混在させ、現代的な家族の姿を表現。

さまざまな樹木の丸太で家族のあり方を表現

花椿通りのウィンドウには、さまざまな木々の丸太を人に見立てて、現代の家族のあり方を表現しました。年の始め、人と人との結びつきの原点である家族を見つめ直すという意味も込めました、とミヤケさん。山桜とソメイヨシノの2本が象徴的な左のウィンドウは夫婦と子どもを。対して右のウィンドウは大きなプラタナスの丸太をシングルマザーに、小さな丸太を子どもたちに見立てて家族の多様なあり方を表現したそうです。洋服のように巻いた稲わらで編んだ菰は、冬になると大切な庭木や街路樹を虫から守るために菰を巻きつける、庭師の伝統的な技術を木のファッションとして応用しました。ところどころを三つ編みにしてフィッシャーマンズセーターを模しています。どちらのウィンドウにも小さな丸太を赤ちゃんに見立てて寝かせ、「SHISEIDO THE STORE」が誕生したシンボルメッセージとしました。

「花」の章のウィンドウディスプレイ。赤ちゃんから女性までのライフステージを表現。

春色のグラデーションが見せる女性の生命の輝き

生まれたての「木」の章に続き、3月には春を謳歌する「花」の章の作品がウィンドウを飾りました。ミヤケさんは心浮き立つ桜の季節にふさわしい作家として、フランスのオーロール・チブーさんに作品制作を依頼しました。ファッションをテーマに、衣装、彫刻などさまざまなメディアを通して、世界各地の展覧会やプロジェクトに参加してきた現代美術作家の女性です。京都のヴィラ・九条山で展示された友禅や型染めの技法を取り入れた作品をはじめ、伝統工芸家と協働してきた彼女の姿勢は、ミヤケさんと共鳴するところが多いそう。まず中央通りの2つのウィンドウに、花吹雪のように軽やかに宙を舞うよう洋服を配置。赤ちゃんから思春期を経て、成人になるまでの女性となっていく過程を、純白から桜色、そして赤く染めたフランスのアンティークの洋服の色彩のグラデーションで表現しました。オーガンジーやレースなど、繊細で透明感のある素材を京都で染色する作業には、ミヤケさんも立ち会ったそうです。「パリの人にとって春のイメージは黄色やオレンジですが、日本人にとってはなんと言っても桜色。その微妙な色彩の文化的ニュアンスを、京都の工房で共有するように心がけました」。

  • 洋服はフランス製のものが中心。人生の節目に袖を通されたものが選ばれた。
  • 季節とライフステージの移ろいを表す、微妙な色彩のグラデーション。

俳句で浮かび上がる、幻想的な世界

花椿通りに面したふたつのウィンドウには、俳人・小林一茶による桜にちなんだ二句にチブーさんがインスピレーションを受けた作品を展示しました。こちらも京都で染色した布に貫頭衣のように襟ぐりをつくり、棒に掛けて折り重なるように配置しました。緑の布には椿、桜色の布には枝垂れ桜が風に揺らぐ様子が浮かび上がるよう型染めしています。女性の生命の力を感じる中央通りのウィンドウとは対照的に、一茶の俳句を日本語とフランス語の文字でガラスに配置した花椿通りのウィンドウはポエティックで、幻想的で儚い女性の美しさが浮かび上がってくるようです。
銀座を行き交う女性の美しさをまっすぐに伸びるさまざまな樹木が祝福する。「木」と「桜」の章、ふたつの季節を飾った作品からは、ふたりの女性美術家によって自然からのメッセージが込められていたことを強く感じました。

  • 枝垂れ桜を型染めした布が揺れる、花椿通りに面したウィンドウ。書画はじめ、日本美術のフォーマットを踏襲するのがミヤケ流。
  • 同じく椿の枝を型染めした布。自然の樹木の下で集う人々の幸せな姿も喚起している。

ミヤケマイ MAI, Miyake
アーティスト。日本の伝統的な美術や工芸の繊細さや奥深さに独自のエスプリを加え、過去と現在、未来までをシームレスにつなげながら物事の本質を問う作品を制作。骨董、工芸、現代アート、デザインなど既存のジャンルを超えて活動している。大分県立美術館(OPAM)、水戸芸術館、Shanghai Duolun Museum of Modern-Art、POLA美術館などでの展示及び、現在 東アジア文化都市2018金沢 『変容する家』2018年 9月15日 - 11月4日金沢21世紀美術館と釜山市立美術館のグループ展『ボタニカ』2018年 8月24日 - 2019年 2月17 日にて展示中。2008年パリ国立美術大学大学院に留学。作品集に『膜迷路』(羽鳥書店/2012年)、『蝙蝠』(2017年)など。京都造形芸術大学客員教授。

http://www.maimiyake.com
オーロール・チブー Aurore Thibout
パリを拠点とする現代美術家。衣装デザイン、彫刻、インスタレーションなどさまざまなメディアを用いてアートとファッションの両面で作品を制作。伝統工芸技術を駆使して、フランスだけでなく海外の小規模の職人とのコラボレーションを展開し、メゾンドマルジェラなどハイエンドのブティックやギャラリーで作品を発表。 2013年以来、天然染料と持続可能なプリンティングに焦点を当てたリサーチをもとにしたコレクションを展開。

http://www.aurorethibout.com/

金沢市内で開催中の「東アジア文化都市2018 金沢」の会場のひとつ、広坂エリアの金沢21世紀美術館、そして東京・渋谷のしぶや黒田陶苑にてミヤケさんの作品をご覧いただけます。
「東アジア文化都市2018金沢 変容する家」
会期: 2018年9月15日〜11月4日 10:00-17:00
休場日: 月曜休館(10月8日は開場)10月9日。会場により異なる場合があります。
入場料: 無料
会場 寺町・野町・泉エリア、広坂エリア、石引エリア
「神在 The Salt of the Earth」
会期: 2018年10月5日〜16日 11:00-19:00(木曜定休)
入場料: 無料
会場: しぶや黒田陶苑
東京都渋谷区渋谷1-16-14 メトロプラザ1F
Tel: 03-3499-3225

HOME

STORY

女性の美しさをリードしてきた銀座への思いを「木」のテーマに込めて

〒104–0061 東京都中央区銀座7–8–10 SHISEIDO THE STORE 4F
TEL 03–3571–1420
営業時間 11:00–20:00(L.O. 19:30)不定休