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風土に合わせて変化してきた古来種野菜の「多様性」に触れ、しみじみ味わう「五季膳の会〜結実の季節〜」

南瓜や胡瓜、瓜など、色も形も大きさも違う古来種野菜を食べるとはどういうこと?フードデザイナー「モコメシ」の小沢朋子さん、古来種野菜の八百屋「warmerwarmer」の高橋一也さんにお話しいただきました。

2018.08.27 MON
風土に合わせて変化してきた古来種野菜の「多様性」に触れ、しみじみ味わう「五季膳の会〜結実の季節〜」 風土に合わせて変化してきた古来種野菜の「多様性」に触れ、しみじみ味わう「五季膳の会〜結実の季節〜」

2018年8月23日に行われた「五季膳の会〜結実の季節〜」。

第一部では、フードデザイナー「モコメシ」の小沢朋子さん × 全国の古来種野菜を扱う八百屋「warmerwarmer」の高橋一也さんのお話。第二部で「五季膳〜結実の季節〜」をいただいたあと、第三部ではSHISEIDO THE TABLESオリジナル味噌のつくり手である山梨県の老舗味噌蔵、五味醤油の六代目、五味仁さんのお話を聞きました。
ここでは五季膳と古来種野菜のお話についてレポートします。

450年前から続いてきた南瓜に、命のつながりを感じる

—— 本日は「五季膳の会〜結実の季節〜」ということで、高橋さんには、2種類の南瓜と瓜を会場にもってきていただきました。どれもすごい存在感です。

高橋 一番左は、日本最古の南瓜、三毛門南瓜(みけかどかぼちゃ)です。およそ450年前、大分県を経由してこの南瓜が入ってきたといわれています。

—— 450年というと、鉄砲伝来のころです!

高橋 そう。そのときの南瓜を、まだ守ってつくっているかたがいるんです。
その隣にあるのが愛知産の縮緬南瓜(ちりめんかぼちゃ)。さらにその隣が愛知産の冬瓜。今、流通している冬瓜は、沖縄でつくられているような緑のものが多いのですがこれは白い。こういうのが日本で昔からつくられてきた冬瓜なんです。
日本全国にはいろいろな南瓜がありますが、三毛門南瓜が原点といわれています。それぞれの土地で土と風と水が違うので、そこに土着して生き延びるために形を変えてきたんです。

三毛門南瓜(みけかどかぼちゃ)|福岡県産
縮緬南瓜(ちりめんかぼちゃ)|愛知県産
冬瓜|愛知県産

—— まさに各地の風土が野菜をつくってきたんですね。こうした古来種野菜のいくつかは、これからみなさまにお召し上がりいただく「五季膳」にも使われています。
精進料理をモチーフにして生まれた「五季膳」は「野菜の一生を食べる」がコンセプトとなっています。「野菜の一生を食べる」というのは、とても印象的な言葉です。

小沢 そうですね、普段、商品として野菜を買うと、人参だったら人参、トマトだったらトマト、南瓜だったら南瓜の形をしています。でも、もともとは種だった時期があって、葉っぱが生えて、つるが伸びて、花が咲いて、その結果として実がなる。「五季膳」ではこうした「野菜の一生」を感じられるようなメニューにしたいなと思ったんです。

—— 古来種野菜を使うことも「野菜の一生」を表現するために必要だったのですね?

小沢 はい。「野菜の一生をいただく」といったときに、その一生が、どんな一生かというのも大切だと思っているからです。
私が使いたいのは、農家さんが自分のところで種を採って、それを次の季節に植えて、代々命がつながっているお野菜。一代かぎりの商品としての野菜ではなく、自家採種している野菜を使うことは、連綿とつながっている命の一部を切り取っていただくということ。それが「野菜の一生をいただく」のもうひとつの意味だと思っています。

誰もコントロールできないからこそ、自然そのままの姿がある

—— こうした古来種野菜は「五季膳」のほかにも、SHISEIDO THE TABLES平日のランチでも使用されています。

小沢 はい。パンプレートとお弁当、2種類あって、そこで使っている野菜はすべて古来種野菜です。でも、こうした野菜って1週間で旬が終わってしまうから、あっという間になくなってしまうんです。メニューをつくっても、なくなってしまうことが想像できるので、私ができることって実はあまりないんです。

—— そんななか小沢さんがやったのは?

小沢 野菜を受け入れる器のデザインをすることでした。お弁当だったら「五法」で調理すると決めたんです。「生」「焼く」「煮る」「蒸す」「揚げる」この5つの調理法をバランスよくひとつのお弁当にいれる。パンプレートだったら、塩と太白ごま油でシンプルにグリルする。その時々に来る野菜を聞いて、高橋さんと相談しながら、この野菜は「生」、これは「焼」、というように当てはめるようにしたんです。

古来種野菜のお弁当
古来種野菜のグリルとパンのプレート

高橋 農家のみなさんは天候に合わせて作業をしているから「この日に確実に出荷できます」という保証がない。私たちが自然に合わせないといけないんです。誰もコントロールができない。だから、自然がそのままここにきているんです。

小沢 私たちは、それを受け入れるしかないんです。

高橋 こういうおじいちゃん、おばあちゃんが大事に育てている野菜を食べると、どことなく味が違うのがわかるんですよ。味わいがあって。みなさんにもそれを味わっていただけるとうれしいです。

多様性を目の前にすると、正解はひとつではないことに気付かされる

小沢 古来種野菜の味って、ほかの野菜と違うには違いますよね。半年近く、古来種野菜を扱うようになって、“古来種野菜がおいしいかどうかはまた別問題だ”と思うようになってきたんです。

—— おいしいかどうかは別問題?

小沢 すごくおいしいものもあるけど、一般的にいわれている「おいしい」とはちょっと違うと思っているんです。
たとえば南瓜のおいしさを想像すると、甘くてホクホクしたものになる。でも、今回「五季膳」で使っている縮緬南瓜もそうですが、そうしたおいしさとは違うんです。ちょっとたんぱくだったり、水っぽかったり、瓜っぽい味がしたり。

—— 確かに「甘み」「うまみ」というように、わかりやすいおいしさではないですね。

小沢 それで思うのは、古来種野菜の意義って、おいしいさだけではないということ。古来種野菜は多様であることに意義があると思っているんです。
例えば、南瓜や瓜や胡瓜だったら、どんと大きな南瓜があって、ちょっと長細い南瓜があって、ベージュっぽい南瓜がある。さらには黄色っぽい南瓜から、黄色っぽい胡瓜もあって、白っぽい胡瓜もあるというように、いろいろな種類がグラデーションになっている。だから「胡瓜の正解はこれです」「南瓜の正解はこれです」というのがない。その多様さを目の前にすると、「そんなにたくさんあるならば、自分にとっての正解ってなに?」って一人ひとりが考えないといけない。正解は与えられるものじゃない。主体的に野菜や料理と向き合うことができるんです。

—— なるほど、つくり手もそうだし、食べる側も考える。

小沢 そうなんです。

高橋 「野菜の一生」というのは、決められた枠ではないということですよね。ずっとそこにあるもののすべてをいただいていくという意味でも「一生」なので。

秋の実り「五季膳〜結実の季節〜」を、しみじみ味わう

—— さて、そろそろお食事の時間が近づいてきました。本日の「五季膳〜結実の季節〜」は、どのような内容でしょう。

小沢 まず「実の器」。スープに使ったのが、みなさんの目の前にある縮緬南瓜。この南瓜、こんなゴツゴツした見た目なのですが、皮が柔らかいんです。なので、スープには皮ごと使っています。そして綿にも癖があって、それをいれることで味が複雑になるのでいれて、すり流しにして、水と塩だけで仕上げています。本当にやさしい味わいなんです。たんぱくで、甘さも控えめ。
なので、その上に、トマトのタルカをのせています。タルカというのは、インド料理の手法です。鷹の爪とカレーリーフ、2種のスパイスの香りを移したオイルでトマトを揚げると、酸味と香ばしさが感じられます。

実の器|お椀 南瓜のスープとトマトのタルカ

—— 形を崩していない縮緬南瓜が入っているのもいいですね。

小沢 南瓜の食感も、味わっていただきたくて。南瓜のスープだけ食べると、そのまま縮緬南瓜の味が楽しめるし、まぜてお召し上がりいただくとまた違った味わいが楽しめます。

—— 「葉の器」には、かぼちゃの葉っぱも使われています。

葉の器|副菜 蒸した南瓜の葉っぱとミントの味噌

高橋 これは岐阜県の古来種野菜、宿儺南瓜(すくなかぼちゃ)の葉っぱになります。

小沢 蒸した葉っぱの上に、「根の器」であるターメリックライス、さらにその上にミントの味噌を乗せてお召し上がりいただくイメージです。

根の器|ごはん ジンジャーターメリックライス

高橋 葉っぱだけでなく、花もつるも食べられます。ちゃんと南瓜の味がするんです。日持ちがしないから流通はしませんが。

—— 味噌にミントという組み合わせはめずらしいですね。

小沢 最初は驚きますよね(笑)。でも、考えてみたら、しそを刻んで味噌に混ぜるのはよくありますよね。それだったらミントでもいいのではないかと。これが爽やかでおいしいんです。

—— 「種の器」は海老といんげんの芥子の実ソース。“花の器”が金針菜のオイルマリネとなっています。

海老といんげん 芥子の実のソース

小沢 「種の器」は、縞ささげという古来種野菜とエビを茹でて、下に芥子の実のソースを敷いています。芥子の実になたねの種、マスタードのたね、ごまをブレンドしていて、香ばしさの中にも、芥子の実やマスタードの苦味が感じられます。
「花の器」で使われているのは、中華の食材としてよく使われる金針菜で、百合の花のつぼみです。クミンを効かせたオイルでマリネしたものをご用意しています。

花の器|はしやすめ 金針菜のオイルマリネ

高橋 こうした野菜って、目には見えないですけれどもたくさんの歴史があって、さらにはここに来るまで、いろいろな人が携わっています。そういうことを考えると、今ここで食べていることが、すごく貴重なことに思えてくるんです。そういうこと全部含めて味わっていただけたらと思います。

トークが終了すると、いよいよお食事の時間がスタート。一汁三菜の「五季膳〜結実の季節〜」が配膳されると、みなさんひとくち一口噛み締めながら、じっくりと召し上がっている姿が印象的でした。

「かぼちゃのスープがやさしい味で、体に染み渡りました」
「かぼちゃの葉っぱもおいしかったです」
「ミントの味噌はどうやってつくるんですか?」

高橋さん、小沢さんが会場をまわると、さまざまな感想や質問が寄せられ、みなさん興味津々でお話をされていました。

「ひとつの正解」だけがあるわけではない古来種野菜。野菜が銀座へとやってくるまでの道のりや育った土地の風土を思いながら、個性豊かで、多様性のある「おいしさ」を味わった夜となりました。

聞き手・構成/岡田 カーヤ、写真/浦川 良将


このあと第三部は、スペシャルゲスト五味醤油の五味仁さんが登場。
SHISEIDO THE TABLESオリジナル味噌をつくっていただいている五味さんに、発酵や味噌づくりのメカニズムやおもしろさをうかがうとともに、原料の違う甘酒や、熟成期間や分量の違う味噌を食べ比べなど、この日のための特別な体験をご用意いただきました。

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風土に合わせて変化してきた古来種野菜の「多様性」に触れ、しみじみ味わう「五季膳の会〜結実の季節〜」

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