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検索では見つからない、本との偶然の出会いを楽しむサロン

月に一度開催される読書サロン「Beauty Reading Salon」。本に触れ、参加者同士で感じたことを交わし合い、多くの本と偶然に出会う様子をリポートします。

2018.08.27 MON
検索では見つからない、本との偶然の出会いを楽しむサロン 検索では見つからない、本との偶然の出会いを楽しむサロン

Beauty Reading Salonは、SHISEIDO THE TABLESで月に一度開催される、本のあらゆる楽しみ方を学ぶ読書サロン。短い時間で触れた本から感じたこと、思い出したこと、連想したことを参加者同士で自由に交わし合いながら、本との偶然の出会いを楽しむという会です。

本を取り巻く環境はここ10年でずいぶんと変わりました。お目当ての本を検索してネットで購入したり、好みの傾向の本をおすすめされたり……本との接点はぐっと狭くパーソナルなものになっています。そうした状況において「本との偶然の出会いを楽しむ読書サロン」とは、私たちにとってどのような意味をもっているのでしょうか?

この夜は、幅広い年代の男女十数名が参加。講師の編集工学研究所・小川玲子さんのナビゲートで、一般的な黙読にとどまらない幅広い本の楽しみ方を学びました。

手元に配られた資料には、「想読 - Imagine」「感読 - Feel」「共読 - Communication」「偶読 - Serendipity」という読み慣れない言葉が。この4つにならって、本を読んでいくようです。

SHISEIDO THE TABLESでは、手にとって読める世界中の美しい本が、季節ごとに様々な切り口でセレクトされています。イベント開催時のテーマは「ローカルビューティ」。地域を超えた神秘的でエキゾチックな美に触れる世界のヴィジュアルブックセレクションで、本棚が彩られていました。

過去の季節にセレクトされたアーカイブ本も、この日はずらりとテーブルにお目見えします。

直感で本を選び、外見だけで想像する「想読」

まずはイベント中に読む「自分の一冊」を選びます。Beauty Reading Salonは、全員が同じ一冊を読むのではなく、参加者それぞれが好きな本を選んで、読む読書会です。

「本を選ぶ」というと表紙を見て、手にとって、パラパラとページをめくることを想像しますが、小川さんは「本のページはまだ開きません。中身を想像しながら、まずは直感で一冊選んでみてください。”想像すること”がこのあとの読書でとても大切になってくるからです」とナビゲート。

「本をはどんどん手にとってみてくださいね。重さとか肌触りとか眺めているだけではわからない特徴がたくさんあります」

5分ほどで全員が本を選び、講師の小川さんから声がかかります。

「まだ本は開かずに、まずは本の”外見”を読んでみましょう。初対面の人に会った時、それとなくその人を観察しますよね。背格好を見たり、優しそうだな、あの有名人に似ているかもなどと思ったり。それと同じで、本も“一人の他者”なんです。みなさんにとっては初対面の人。
外見からその人柄や中身を想像してみます。正面だけでなく、後ろ姿や横顔からも、初対面の本を眺めてみましょう」

本の中身を五感で読む「感読」

「なんとなく外見から、本のイメージはできましたか?

それでは、次は”感読”に入っていきます。
外見から想像したイメージを持ったままで、本を開いて中身に入っていきます。外から見たイメージ通りなのか、それとも全く違うのか、イメージを超えていく内容なのか、はたまた裏切りの連続なのか……。

中身を読む時も外見を読むときと同様、イメージ、連想、想像力を大切にして読みます。その際、五感も大切に。
言葉や写真、絵から匂い立つもの、味わい、肌触り、温もり、遠くから近くから聞こえてくる声などを、五感でフルに感じてみてください。

そのときにどんなことを思い出しますか? 懐かしさはありますか? ふと感じたことはないでしょうか?」

20分ほど時間がとられ、自分と本とをつなぐイメージを持ちながら、めいめい心地よい場所に移動して本の中身を読むことをうながされました。

「ソファの柔らかい座り心地、硬い椅子の座り心地、立って柱に寄りかかりながら、ふらふらと歩きながら……姿勢によっても読んだ心地は変わってくるはずです。普段読んでいる姿勢でも、あえて違うスタイルでも色々試してみてくださいね」というアドバイスもありました。自分が感じる、こういう読み方をしてみたいな、というスタイルを選んで読みます。

本で自己紹介を交わしあう「共読」

「共読」では本から感じたことを、4〜5人の少人数グループでシェアします。その本からふと思い出したこと、本と自分との共通点などを話し、本を通した自己紹介をします。

「こんな人が書いて、こんな内容で、と正しい情報を伝えようとする必要はありません。『関係ないかもしれないけど、こんなことを思っちゃったんだよね』というような話で大丈夫。思いついたまま、綺麗にまとめずに大丈夫ですので、グループのかたへ伝えてみてください」

とある60代くらいの男性は、『わたしが好きなあなたの匂い』という36の香水と情景を描いた短編小説を手に、
「昔、大学の時にね、女房に初めて香水を買ったんです。イヴ・サンローランの香水をプレゼントしてね……」
と香りにまつわる思い出を話してくださいました。

テーブルあちこちから、
「ああ、そんなことありますね!」という共感や、
「ねぇこれみてください、そんなことがあるんですね」といった声で、読んだ本の内容が共有されて、場がだんだん賑やかになっていきます。

さらに多くの本と偶然出会う「偶読」

そして最後に行われたのは、「偶読」。

「みなさん、ご自分の本とグループの本とで、すでに今夜は5〜6冊の本を、”読んだ”ことになります。ここからはさらに多くの本と出会い、読んでみましょう。」

それぞれがグループから離れて、気になる本を持っている人のところに行って話しかけます。
「どんな本ですか?」「実はわたしその本大好きなんです。どうしてその本を選んだんですか?」と尋ねあい、さらに多くの本との偶然の出会いを楽しみます。

そんななか、講師の小川さんから「みなさん、ちょっと集まってください」と声がかかりました。

全員が再集合すると、小川さんの持っていた本とほかの参加者のかたの選んだ本を並べてめくっていたら、ぴたりと印象がつながるページがあったというのです。手前に置いた本には赤いマスクと黒いマスク、奥に置いた本には赤くひらいた花と、黒い花瓶に活けられた蕾の写真が。

「こんなふうに、本の連鎖が起きることもあるんですね。今日この場に集まったみなさんの選んだ本を全部つなげていくとどうなるだろうと思って!思わずお呼びしてしまいました」

そこから、呼びかけに応えてそれぞれが持っている本をつなげる作業がはじまりました。
思いついた人から口々に、
「この右のページと左のページの色の対比が似ていると思いませんか?」
「わたしはこの密と疎のバランスに、つながりを感じます」
「生命力と無機質な印象が、通じているのではないでしょうか」
「こちら側のページには匂い立つ香りがありそうなので、隣に香水の本を」
と、本を並べていきます。

そうして全ての本がつながっていき……「普通に本を読んだ後」にはとても見えない景色を皆でつくり、この日はクローズ。プログラムにはない本の連鎖は、人と人とが交差するリアルなイベントならではのハプニングでした。

今回「Beauty Reading Salon」を体験してみて、終始和やかに会が進み、共有に物怖じする方がいらっしゃらなかったことに驚かされました。予習をすることなく、全員が”その日はじめて出会った本”を紹介することで、共有のハードルが下がっていたのでしょう。「正しくなくても大丈夫」「ほんの一部でも大丈夫」という小川さんのガイドのもと、全員が20分という短い時間で本の中身を読んだことで、失敗を恐れずにその後の共有を楽しむことができました。

また、あらかじめセレクトされた本の中から選ぶことで、自分の好みや興味の外側にある本と触れることができたのも大きな収穫。日常では意識している以上に自分のスコープの中で本を選んでいるのだと気づきます。

さらには、最初から最後まで読まなくても、触れたり、想像したり、本を通じて会話したりすることも”読む”スタイルの一つであるということは、新しい発見でした。これから普段の生活でも、本との接点が多面的で楽しいものになりそうです。
「Beauty Reading Salon」には、人との交差、本との交差といういくつもの偶然を楽しむ、自由で豊かな時間が流れていたのでした。

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検索では見つからない、本との偶然の出会いを楽しむサロン

〒104–0061 東京都中央区銀座7–8–10 SHISEIDO THE STORE 4F
TEL 03–3571–1420
営業時間 11:00–20:00(L.O. 19:30)不定休