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自然のままの環境を大切にしているから、 植物は美しく、香り高く育っていく

季節のうつろいをそのままにとじこめたボタニカルソーダは、どのような環境でつくられているのでしょう? 鴨川でエディブルフラワーを生産している「GRAND ROYAL green」井上隆太郎さんに聞きました。

2018.06.28 THU
自然のままの環境を大切にしているから、 植物は美しく、香り高く育っていく 自然のままの環境を大切にしているから、 植物は美しく、香り高く育っていく

2018年4月19日に行われた「五季膳の会〜新緑の季節〜」。
第3部トークのゲストは、鴨川でエディブルフラワーを生産している「GRAND ROYAL green」井上隆太郎さん。この日のためにつくってくれた、6種類のハーブを使ったスペシャルなボタニカルソーダは、まるで新緑の山の風が感じられるかのように季節の香りを運んできてくれました。
どうして、これほどおいしいソーダができるのでしょう? 生産者としての井上さんの思いをうかがいました。

シロップにすることで、短い花の輝きを環境ごと閉じこめる

—— 本日の「五季膳の会」のため、井上さんにはスペシャルドリンクをつくってきていただきました。これはどのような植物からできているのでしょう。

井上 レモンバーベナとレモンマートル、フェンネルにカモミールの葉っぱの部分、あとは匂いスミレと呼ばれるスイートバイオレットを煮出してシロップをつくりました。さらに、山にあるモミの新芽でもシロップをつくり、ふたつのシロップを混ぜソーダで割ったところに、コーンフラワーと呼ばれる矢車草をチョロチョロと浮かべました。

—— 爽やかで甘酸っぱくて、いろんな香りと味がします。取材にうかがった4月上旬、千葉県鴨川にある井上さんの山へと取材にうかがったとき、このソーダに使われているモミの新芽がシーズンでしたね。

井上 モミの木って東京ではなかなか見ないと思いますが、春先に薄い黄緑色の新芽がでます。柔らかくて、グレープフルーツのような香りがして、むしゃむしゃと食べられるのです。

—— 生でモミを食べられるとは驚きでした。このモミもそうですが、これまでSHISEIDO THE TABLESにご提供いただいたボタニカルソーダの桜や梅のような花もシロップになることによって、それぞれの香りがより引き出されているように感じます。どうしてこんなにもフレッシュな香りのものができるのですか?

井上 桜でも、梅でも、花だったら、いつ収穫するかによって香りが全然違ってきます。僕はいつも咲き始めに収穫しています。しかも、収穫してからすぐに加工をしないと香りはでてきません。だからシロップ用に花の加工ができる期間は本当に短くて、それぞれ1週間あるかないか。大量生産ができないから、市場にだすのはほぼ無理なのです。

単一品種だけでなく、いろいろな種がある自然の状態で育てたい

—— 井上さんは今年からハウスも譲り受けて始めたそうですが、ハウスでの栽培のしかたもこだわりがあるのですね。

井上 5年前、鴨川でエディブルフラワー栽培を始めるとき、前半の高橋さん、モコメシさんの話しではないですけど、品種改良されたものをつくりたくないと思ったのです。エディブルフラワーもハーブでも、ヨーロッパなどではもともと雑草のようにわさわさと生えているものなので。

—— だから、最初は野原のような土地で栽培をしていたし、ハウスになってもいろいろなハーブをまぜて植えている。

井上 そうです。しっかりとした環境であれば、野原のような場所でもハーブは育つし、単一品種で植えないことによって、全部が虫に食われてしまうということがなくなる。自然界には一種類の植物だけが育っている場所って、本来ならないはずなのです。キャベツ畑にはキャベツしかないから、キャベツが好きな虫がたくさん集まってくる。いろいろな種類が植えられている雑木林であれば、虫がその山をハゲにすることはありませんよね。

—— たしかに。自然界を見ればわかりやすい。

井上 山以外でも、植物が育成してきたそのままの環境をなるべくつくろうと思っています。土にしても牛糞とかは使わず、植物性の有機肥料だけ。

—— スプラウトも水耕栽培はせずに、すべて土からつくっていると言っていましたね。

井上 水耕栽培は好きではないのですよ。日の光を当てずに育てているから、たとえパクチーの味はしても、本来の味がしないのです。土で育てれば、太陽の味も土の味もする。コリアンダースプラウトは芽が出た状態で、根っこごと引き抜いて出荷しています。根っこもおいしいので、レストランの方が喜ぶのです。

—— 取材時、私たちもいただきましたが、土付きのまま食べてもおいしかったです。

井上 土もおいしいですよ(笑)。僕がやっている農業はガーデニングの延長といったらおかしいですけど、ハーブや花を扱っているので、ひとつの実を大きくするとか甘くするとかは、あまり考えずにつくっています。きれいなものを自然につくる。そうすると、結果として香りもすごくよくなってくるのです。

花はおいしいし、美しい。食べる機会が増えるといい

—— 井上さんがハウスで育てている花には、牡蠣の味がするもの、チョコミントの味がするもの、いろいろなものがありました。しかも、山では桜や木蓮も食べられると教えてもらいました。これまで花は食べるものではないと思いこんでいたのですが、そうではないと気付かされます。

井上 花は普通に食べられます。食べたほうがいいと思います。おいしいし美しいので。

—— 井上さんにとって、昔から花を食べることは当たり前だったのでしょうか?

井上 幼いときは葉山で育ったのですが、山のなかをかけまわっては、新芽や花を普通に食べて育ちました。今も職業柄、つねに食べられる花を探していて、街でも山でも、おいしそうでいい匂いのものがあったら、とりあえず食べてみるようにしています。一般のかたには、あまりおすすめはできませんが。

—— あまりおすすめをしないのは、安全性の問題で?

井上 はい。まれに毒があるものもあるので。たとえば落花生の花には毒があります。これは花が咲いているとき鳥に食べられると種ができなくなってしまうため。こういう花もまれにあるので、知らない人はむやみやたらに食べないほうがいいです。僕は植物の知識があるので大丈夫なのですが。あと、最近思っているのが、レストランで付け合せにでてくるパセリについて。

—— パセリ。あまりみんな食べないですよね。

井上 そうなのです。残すかたが多いですよね。僕はそれを、すごくもったいないことだと思っていて、いっそのこと花にすればいいんじゃないかと提案したいです(笑)

—— なるほど。付け合せが葉っぱではなくて花でもいいですね。

井上 ニンジンも大根でも、葉物野菜の場合、花は葉と同じ味がします。パセリの花はパセリと同じ味がするので、花がのっていたら、みんな食べたいと思うのではないでしょうか? 見た目もきれいですし。

来場したみなさんは、井上さんがつくってきてくれたスペシャルドリンクをいただきながら、山や畑の写真を見たり、井上さんの話しに熱心に耳を傾けたり。それがどういう場所から来たか、どのような思いで育てられ、つくられているか知ることで、そのおいしさをしみじみと楽しまれていたようです。食べものが来た道をたどり、思いや背景を知ることで繋がれるもうひとつの世界。それを知ることで、日常が少し豊かになるかもしれません。

SHISEIDO THE TABLESでは、今後も井上さんがつくるボタニカルソーダが季節ごとに登場します。鴨川に降り注ぐ太陽やそよぐ風、土や水などの自然がまるごと、季節の香りとともに感じられる味わいをお楽しみください。

聞き手・構成/岡田 カーヤ、写真/浦川 良将

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自然のままの環境を大切にしているから、 植物は美しく、香り高く育っていく

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