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変化する時代と街に美の光を灯す2019年初春のウィンドウディスプレイ

新しい年を迎え、銀座の街を行く人々の国籍、言語、美しさへの眼差しはますますボーダレスになっていることを感じます。アーティストのミヤケマイさんは、初春の季節と陰陽五行の「木」のテーマにあわせ、躍動感あるいまの銀座を映すディスプレイを手がけました。

2019.01.31 THU
変化する時代と街に美の光を灯す2019年初春のウィンドウディスプレイ 変化する時代と街に美の光を灯す2019年初春のウィンドウディスプレイ

自然とテクノロジーが融合する「REBORN TREE」

  • 左のウィンドウ。翼を広げた鶴の大胆な構図の壺。写真/繁田諭(以下同)
  • 右のウィンドウ。竹林の中から虎が浮かび上がるダイナミックな作品。
  • チョアンさんによる「転生樹系列-Reborn Tree Series」の資生堂バージョン。葉の動きが鶴の羽のよう。
  • 揺らぐ樹影が虎の姿をより生き生きとしたものにしている。

SHISEIDO THE STOREがオープンして1月19日で1周年を迎えました。ミヤケマイさんがアートディレクションを手がけるウィンドウディスプレイも今年で2年目。中国の古代哲学に基づいた世界を構成する要素、木・火・土・金・水の「五行」をテーマに、「アーバンビューティーテンプル」にふさわしい季節のメッセージを伝えています。
初春の題材は「木」。ミヤケさんは中央通りの正面エントランス両脇のウィンドウには「踊る木」を、花椿通りのウィンドウには「旅する木」をイメージし、4つのウィンドウ全体で躍動感のある動く森を表現しました。
中央通りの踊る木として、台湾のアーティストであるチーウェイ・チョアンさんに、代表作品のひとつ「転生樹系列-Reborn Tree Series」の制作を依頼しました。昨年の釜山ビエンナーレ期間、釜山市美術館にともに招待されてお互いの作品を知ることになったミヤケさんとチョアンさん。自然とテクノロジーが融合する彼の作品にミヤケさんが共感し、THE STOREのウィンドウに参加していただくことになりました。ウィンドウの前に立つと、本物の樹木の枝がモーターで制御されたワイヤーに釣られて、風に吹かれたような動きを機械的に繰り返していることに気づきます。そこからは人の手が介在する自然美に対するアイロニーを感じ取れるのです。同時に、展示空間に投影される樹木の影や様相の変化は、輪廻転生を繰り返す「木」の生命そのものが、アーティフィシャルな美を超越するというメタファーであることも感じ取れるでしょう。

鶴と虎が言祝ぐアジアのお正月

1月から2月にかけて、日本のお正月から大陸の旧正月へと新年を言祝ぐ時間がアジアには流れます。THE STOREを訪れるゲストの国境もいつにも増してボーダレスになる季節。そのような空気感をミヤケさんは正面ウィンドウのもうひとりの参加アーティストである桝本佳子さんに託しました。桝本さんは陶磁器をメディアとするアーティストです。チョアンさんが選んだ樹木の鉢として、日本と大陸に共通する吉祥のモチーフを取り入れた大きな壺を制作しました。日本をイメージした左のウィンドウには、松と寿の文字をあしらった鶴の白磁の壺を。大陸をイメージした右のウィンドウには、咆哮を上げる虎に竹と梅、福の文字を入れた青磁の壺を、ミヤケさんは依頼しました。「絵画的であり、いい意味で女性的で大胆な作風」とミヤケさんが信頼を置く桝本さんの作品からは、「歳寒三友」のように日本と中国に共通する古典を題材とした絵巻のような物語が浮かび上がります。

  • 世界各国の木にまつわることわざや慣用句を資生堂書体で配したミヤケさんによる行灯。
  • 雨宮さんによる「knowledge」。知恵の実は溶け出すことも。

「木」という賢者を見つめ直す

中央通りから花椿通りへと入り、4階の「THE TABLES」に向かうエレベーターに乗る前にはふたつのウィンドウにもご注目を。こちらではドイツ在住の雨宮庸介さんによる本物と見紛うりんごの作品と、ミヤケさんによる行灯の作品を組み合わせ、「旅する木」を表現しました。
この行灯には世界中の木の慣用句を透し彫りにしました。「“木を見て森を見ず”に代表されるように、世界の言語は多くの木の慣用句を持ち、木から感じるものには普遍性があるような気がする」とミヤケさんはいいます。言葉を集める中で、「The Apple never falls far from the tree.=りんごの実は木から遠く離れて落ちることはない(子は親に似るもの)。」の一節に疑問を感じたミヤケさん。「Bless the Apple that falls far from the tree.=木から遠く落ちるりんごの実に祝福を。」と変え、知識によって生まれ落ちた環境とは異なるところに運ばれる人の様を表しました。雨宮さんのりんごのオブジェ「knowledge」は、旅をするりんごは知恵の実、知性の象徴であることを示しています。溶けゆくりんごは、知もまた生ものであり、揺らぐことを表しているのかもしれません。

  • 桝本さんによる「椿/皿」。鍋島焼の皿に描かれた椿の続きを皿の外側に陶器の立体で表現。W36.0×H43.0×D6.0cm。写真/鈴木俊則(2点とも)
  • 同じく「大根/壺」。白い結晶釉の壺から大根が生えているよう。W18.0×H28.0×D12.0cm。

「THE TABLES」で木と春にまつわるアートを楽しむ

今回ミヤケさんは、資生堂初代社長で文化人でもあった福原信三のDNAを作品に取り入れています。「木」の章の展示期間と同じ期間、花椿通りを挟んで向かい側の資生堂ギャラリーで、展覧会「それを超えて美に参与する 福原信三の美学 Shinzo Fukuhara / ASSEMBLE, EUGENE Studio」が開催中です。「アートが日常を変える 福原信三の美学」という副題通り、アートやデザインを重視する経営を行ってきた福原。美しさを日常の中に取り込む大切さを、写真をはじめとした活動で普及してきた彼の姿勢に共感した英国の建築家集団・ASSEMBLEが、作品制作のプロセスにその思想を落とし込んだ意欲的な展示です。
ミヤケさんは銀座という街でアートの光を灯した福原に敬意をはらい、中央通りのウィンドウには、コンパクトのミラーに見立てた鏡面のカッティングシートに、100年前に誕生し、今も手書きで伝承されているオリジナルの「資生堂書体」で「福」と「春」の文字を入れました。また花椿通りのウィンドウには、木から紙、そして本へとマテリアルを連想させ、ランタンの灯りの下で書籍を読む福原の書斎をイメージしたしつらえにしたのです。
アート好きのゲストが通う4階のカフェ「THE TABLES」も、美をテーマとした書斎のようなスペース。ここにもウィンドウのテーマを踏襲した作品が展示・販売されています。今回は壺を制作した桝本さんの作品2点。具体的なフォルムのオブジェが、器という用途を変容させながら物語をつむぐ魅力的な作品です。
メディアも作風もさまざまな作家がそれぞれの世界観や思想を大切にしながらも連歌のように影響し合うミヤケさんによるウィンドウディスプレイ。「木」の章の背景に流れる何本ものストーリーに思いを馳せてください。

ミヤケマイ MAI, Miyake
アーティスト。日本の伝統的な美術や工芸の繊細さや奥深さに独自のエスプリを加え、過去と現在、未来までをシームレスにつなげながら物事の本質を問う作品を制作。骨董、工芸、現代アート、デザインなど既存のジャンルを超えて活動している。大分県立美術館(OPAM)、水戸芸術館、Shanghai Duolun Museum of Modern-Art、POLA美術館などでの展示及び、現在 東アジア文化都市2018金沢 『変容する家』2018年 9月15日 - 11月4日金沢21世紀美術館と釜山市立美術館のグループ展『ボタニカ』2018年 8月24日 - 2019年 2月17 日にて展示中。2008年パリ国立美術大学大学院に留学。作品集に『膜迷路』(羽鳥書店/2012年)、『蝙蝠』(2017年)など。京都造形芸術大学客員教授。

http://www.maimiyake.com
莊志維 CHIH-WEI, Chuang
1986年台湾台中生まれ。台北芸術大学新媒体芸術研究所(ニューメディアアート修士課程)及び交通大学建築研究所(修士課程)卒業。芸術と建築両面のアプローチから、光と空間を用いたインタラクティブインスタレーションを創作。人と環境の相互関係を探り極めることを得意とする。2013高雄アワード、2015年台北アートアワード受賞。2015年台北デジタルアート賞 2016文化部 Made In Taiwan ─新人推薦特区選出。また、アジアコンテンポラリーアートショー(釜山市立美術館)、台湾ビエンナーレ、韓国の平昌ビエンナーレ、及び Mercedes-Benz AVANT/GARDE DIARIES前衛芸術展参加招聘。2014年トーキョーワンダーサイトのアーティストインレジデンスに参加。現在、台北芸術大学新媒体芸術系非常勤講師。

http://www.chuangchihwei.com
桝本佳子 KEIKO, Masumoto
1982年兵庫県生まれ。2007年京都市立芸術大学大学院修士課程陶磁器専攻修了。2010年ゲストアーティスト (フィラデルフィア芸術大学/アメリカ)。2013年レジデンスプログラムアーティスト (ヴィクトリア&アルバート博物館/イギリス)。主な個展を、2014年「とびだす/うつわ 桝本佳子の世界」(たつの市立龍野歴史文化資料館)、2017年アートフェア東京2017「MASUMOTO EXPO」(東京国際フォーラム・村越画廊)、グループ展を2015年アートフェア東京2015「桝本佳子・ミヤケマイ二人展 日月山水」(東京国際フォーラム・村越画廊)、2016年「正守千絵・桝本佳子 二人展」(銀座三越・東京)、2018年「ひょうごのやきもの150年」(兵庫陶芸美術館)にて開催。

http://keikomasumoto.main.jp
雨宮庸介 YOSUKE, Amemiya
1975年茨城県水戸市生まれ。1999年多摩美術大学美術学部油画専攻卒業。2013年サンドベルグインスティテュート(アムステルダム) ファインアート修士課程修了。彫刻や映像インスタレーション、パフォーマンスなど、さまざまな手法を用いて、物事の境界線の再考を促すような作品を制作。
主な個展を2013年「On Alongsideness」(Galerie Fons Welters・アムステルダム)、2018年「Ring Me Twice」(SNOW Contemporary・東京)、グループ展を2017年「Framed#3」(舞台美術 with Roi Alter・ベルリン)、2017年「Walking Across A Huge Wilderness To Meet With The Unknown Close Friend In Formal Attire」(オープンスタジオ FAHRBEREITSCHAFT/Haubrok Foundation・ベルリン)、2017年「Happy People - A smoking lounge by Arnar Ásgeirsson」(The Living Art Museum ・レイキャビーク、アイスランド)、2018年「DOMANI 明日展」(国立新美術館,・東京)にて開催。

http://amemiyan.com

「アートが日常を変える 福原信三の美学 Granby Workshop : The Rules of Production Shinzo Fukuhara / ASSEMBLE, THE EUGENE StudioⅡ」展
会期 : 2019年1月16日(水)〜3月17日(日)
平日 11:00-19:00 日曜・祝日 11:00-18:00 月曜休
会場 : 資生堂ギャラリー
東京都中央区銀座8―8―3 東京銀座資生堂ビル地下1F
Tel.03-3572-3901
入場無料

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変化する時代と街に美の光を灯す2019年初春のウィンドウディスプレイ

〒104–0061 東京都中央区銀座7–8–10 SHISEIDO THE STORE 4F
TEL 03–3571–1420
営業時間 11:00–20:00(L.O. 19:30)不定休